ミュルマミウスの虜 デザイナーズノート

・はじめに
まずはこちらをご覧いただき誠にありがとうございます。説明書だけでは伝えきれない『ミュルマミウスの虜』の魅力をお伝えできればと思い筆を取りました。

・このゲームは難しい
初心者8人でプレイして、上手く並ばずに魔女勝利。何をすればいいか分からない。そんな感じにはならなかったでしょうか。お気付きかとは思いますが、このゲームは人数によって難易度が大幅に異なります。4人でも8人でも変わらない難易度であれば良かったのですが、「考える楽しさ」を大事に残した結果、人数に比例して難易度が上がる仕様となっております。

・2+2=◯ と ◯+◯=4
問題です。2+2はいくつでしょうか?正解は4です。
では◯+◯=4の◯に入る数字はいくつでしょうか?2+2も入りますが1+3も3+1も入ります。さらに言うなら1.3+2.7も-5+9も入ります。数学級になるとまだまだあるでしょう。それをみんなで話し合うといろんな答えが入り混じりませんか?きっとそれは「考える楽しさ」を生み出していると思います。

・騎士も魔女もレベル1から
それを踏まえてこのゲームの話に戻ります。ルールは説明書にある通りですが、では具体的に何をすれば楽しめるでしょうか。それは「ヒント」や「アドバイス」であり、ルールではないのでどうしても説明書に書き切れない部分があります。色々と試していただければ幸いです。

・騎士:質問のバリエーションを増やしてみよう
説明書にもいくつか例を挙げていますが、他にも「タイルに関して」「はいかいいえで答えられる」質問はたくさんあります。基本編は説明書に記載あるものとして、応用編を記します。
「あなたとあなたの見た数字の合計は奇数ですか?」
「あなたとあなたの見た数字の合計は6以上ですか?」
「あなたはあなたの見た数字より大きいですか?」
「あなたはあなたの見た数字より1大きいですか?」
もちろんこの他にも様々なバリエーションがあると思います。素敵な質問が思い浮かんだら是非お聞かせください。また余談ですが、過去には、
「あなたは素数(2,3,5,7)ですか?」
「あなたの数字は丸みを帯びて(2,3,5,6)いますか?」
などもありました。ルール的にはOKです。

・騎士:虜は嘘をつくが、虜を見た人は嘘をつかない
あなたはA(1)で、探求フェイズでは
A→B→C→D→Aの順で見たとします。
Cの数字を知りたいけど、Cは虜かもしれない…
直接Cに質問をすると嘘をつかれるかもしれないと感じた時、Bに「Cの数字は◯ですか?」と質問するのは有効です。Bが騎士なら正解が聞けるでしょう。Bが虜の場合を除いて…

・魔女(虜):勇気を持って嘘をつこう
同様にあなたはA(1)で、探求フェイズでは
A→B→C→D→E→F→Aの順で見たとします。
Bが魔女だったのであなたは虜になりました。Cから「あなた(A)は2ですか?」と質問された時、慣れない内は(Fに1だと見られているから嘘がつけない…)と感じるかもしれません。しかしこのゲームは議論がありません。「Aは嘘をついている!」と言われないのです。「えー!?」とか「怪しいなー?」とかも言われません。そして後に矛盾が生じたところで、あなたと本当の騎士のどちらが嘘をついているか分からない事が多々あります。もうそれだけで十分過ぎるほど功績を残しています。現実じゃない、ゲームだからこそ嘘をついていいんです。嘘を楽しみましょう。

・人数別オススメ度
先ほども申し上げましたが、人数によって難易度が大きく異なるので、では何人が適正なのかを述べさせていただきます。
・基本ルールオススメ度
4人:難易度★☆☆ 満足度★☆☆ オススメ度★☆☆
想像よりも遥かに簡単に終わります。魔女ありのルールを覚えるには一番オススメかもしれません。あまりにも拍子抜けで物足りないのではないかと思います。また、高確率で騎士陣営と魔女陣営が2:2になるので騎士が勝つのは難しいかもしれません。
5人:難易度★★☆ 満足度★★★ オススメ度★★★
作者が想定するプレイ推奨人数です。適度に考え適度に早く終わります。ただそれでも長考される方はいると思います。このゲームは長考を良しとする(いっぱい考えて欲しい)ので、慣れない方がいっぱい考えている場合、それをあたたかく見守ってあげるくらいの気持ちではいかがでしょうか。
6人:難易度★★☆ 満足度★★★ オススメ度★★★★
作者がこのゲームを最初に考えたプレイ人数です。伏せタイルが無くなって全員に用意されたタイルを配り切るので、システム上の運要素が無くなります。初心者の方もこの人数なら3ラウンド目には理解し始めているのではないでしょうか。
7人:難易度★★★ 満足度★★★★ オススメ度★★★
一気に難易度が上がります。このゲームが初めてだという方は付いていけなくなるかもしれません。ただ、難易度が高いからこそ、隊列が揃った時の達成感は6人達成時の比ではありません。質問できる人数、すなわち騎士の比率も上がる想定なので、ぜひ慣れたらこの人数でも楽しんでいただければと思います。
8人:難易度★★★★ 満足度★★★★★ オススメ度★★☆
業火吹き荒ぶ火山の行軍だとなぞらえます。経験者、熟練者でも隊列7人揃い切るのは困難です。大変心苦しいのですが、初心者の方がいる場合は6人以下をオススメ致します。ですが、8人プレイで騎士側が勝利した場合、心の底から多大なる賞賛と感謝の想いを伝えさせてください。あなた方は作者の想像を上回る活躍を見事成し遂げられました。

・特別ルールオススメ度
3人特別:難易度★★☆ 満足度★★☆ オススメ度★★☆
特別ルールになることで少人数でも遊べる作りになっています。魔女がいない「平和村」もあり得ますが、いかんせん運の要素が大きく絡むところがありますので、論理パズルと呼ぶにはいささか厳しいところもあるのではと感じます。
4人特別:難易度★★☆ 満足度★★★ オススメ度★★★
概ね3人特別と同じですが、必ず2人以上は同じタイルを見る必要があるため、虜の人数が0〜2人で大きく変わります。それもまた笑える要素になれば幸いです。

・上級ルール、協力ルールオススメ度
上級(4〜7人):難易度★★★ 満足度★★★ オススメ度★★★
ここを読んでいるということは、基本ルールを心ゆくまで堪能された後だと思います。ありがとうございます。魔女なしのアクセントを加えることで平和村の喜びも分かち合えればと思います。
協力(4〜7人):難易度★〜★★★ 満足度★★★ オススメ度★★★
魔女なしで純粋に論理パズルだけを楽しむのも非常にオススメです。隠匿ゲームが苦手な方は「議論で問い詰められるのが苦手な方」と「そもそも嘘をつくのが苦手な方」に分かれます。前者には基本ルールをオススメしたいのが当初のコンセプトでしたが、嘘をつくのが苦手、もっと言うなら嘘をつくのが嫌いな方にもこのゲームを楽しんでもらいたいのが本音です。なのでそういった方に「このゲームは嘘をつかないとできないんだよ。」と無理強いをするのではなく、みんなが楽しめる方法で心から遊んでいただければ作者冥利に尽きます。

・終わりに
テストプレイを重ねて、最初に書いた「初心者8人」での場面が何度かありました。結果楽しさより難しさが上回り、このゲームの一番伝えたい楽しさを伝え切れていないのでは無いかと悩みに悩みました。ですが、8人プレイも心から本当に面白いと自信を持って言えます。ただ初めての方には不向きだとも思っているので、どうしても言い訳がましく聞こえてはしまいますが、お耳に届けられれば幸いです。最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

鴎乃汝那(@kamomeno_jo7)